カ・ン・シ・カメラ
☆☆☆

またバスに揺られて家の近くで下りると、もう陽が暮れ始めていた。


あちこち動き回ったせいで少し疲れている。


ずっしりと重たく感じるカバンを肩から下げて、玄関を開ける。


その時だった後ろから足音がして振り返った。


「お兄ちゃん……」


そこに立っていたお兄ちゃんが視界に入ったと同時に、その後ろからついてきた叶さんと目があった。


「純白ちゃん、こんにちは」


叶さんがニッコリと微笑むが、あたしは返事が出来ずに立ちつくす。


叶さんが殺人犯だと思っているあたしは、真っ直ぐに叶さんを見る事も出来なかった。


「なんだ? 家に入らないのか?」


お兄ちゃんに声をかけられ、あたしは慌てて玄関に入った。


ここで怪しまれちゃダメだ。


できるだけ自然に行動しなきゃ。


そう思えば思うほど汗は噴き出し、歩き方までぎこちなくなる。
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