カ・ン・シ・カメラ
すると、男はピタリと動きを止めた。


やっぱり、この人は叶さんだ!!


「ど、どうしてこんなことをするの!?」


思い切ってそう聞いてみる。


叶さんは答えず、あたしに手を伸ばす。


しかし、その手が小刻みに震えている事をあたしは見逃さなかった。


「怖いなら、やめて!!」


そう言うが、叶さんはその手であたしの口をふさいだ。


強い力に驚き、目を丸くするあたし。


そのまま馬乗りになられ、準備していたガムテープで口をふさがれ、両手両足をロープで固定されてしまった。


男の人が本気を出せば、あたしなんてこんなにも簡単に捕まってしまうんだ。


そう思うと、すごくショックだった。


でも……この時あたしは1つの疑問が浮かんできていた。


叶さんはあたしを気絶させてここまで連れて来た。


それなのに、どうして手足を拘束していなかったんだろう?


わざわざ目が覚めてから拘束するなんて、手間がかかるだけだ。
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