カ・ン・シ・カメラ
殺されてしまった女の子たちの謎は解けたけれど、新たな謎が降りかかってきている。


「ねぇ……叶さん」


廊下の足音が遠ざかるまで待っている叶さんに声をかける。


「なに?」


「あたし、叶さんが犯人だと思ってた」


あたしが言うと、叶さんは無言のままドアへ視線を向けた。


「だけど、違った。犯人はお兄ちゃんだった。でも、全然わからない事だらけなの」


その言葉に、叶さんは小さくため息をはきだし、あたしを見た。


その目は、まるであたしを憐れんでいるような、そんな目だ。


あたし1人だけ何も知らない。


そんな気がして、数歩後ずさりをした。


さっきは叶さんが助けてくれて安心したけれど、ここにいて本当に安全なのかが疑わしくなる。


後ずさりをするあたしを見て、叶さんが部屋の鍵をかけた。


「全部話してあげるよ。君の疑問を言ってごらん?」


叶さんはそう言い、微笑んだのだった。
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