意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
ぐっと立花の口を抑えていた手に、小さな両手がかかる。
それを剥がそうと、力を込めてぎゅっと俺の手を握る姿が可愛い。

とは言っても全然弱いんだけど。
そんな細い腕で力を込められても、俺、動ける気がしない。

まぁでも仕方ないから、大人しく引っペがされてやることにした。
懸命な姿が可愛いしな。

「はぁ……苦しかった。突然何?
昨日はお父さんみたいに優しかったのに」

「は?」

俺と高橋の声が、かぶる。

「昔、お父さんがよく寝る前にしてくれてたの。
おでこにチュって。
なんで瀬田があたしにするのかなぁって」
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