好きと言えなくて
来月19才になる、父さんが誕生日祝いに時計を買ってくれると約束したのにな。


ブランドのワンピースに汚れたスニカーは似合わない。


又、ノックされ田城ちひろが入ってきた。


田城ちひろの手には黒のパンプス。


低いから履けるだろと渡された。


リボンがついていて可愛いパンプスなんて、履いたこともない。


そっと足を入れるとぴったりだった。


鏡に写る自分の姿に見惚れていると、顔がガキだからアンバランスだな。


田城ちひろが私の後ろに立ち、鏡に写る私を見て笑う。


ガキじゃないし、来月19才になるし。


「ガキのままでいろ。」


え、振り向くと田城ちひろは部屋から出て行く所だった。


「ガキじゃない。来月19才になるんだから。」


「そうか、じゃ誕生日祝いしてやるよ。」


嘘だ。


あの俺様で意地悪な田城ちひろが誕生日祝いをしてくれるなんて、信じられない。


「綾華、のんびりするな。表紙の撮影あるから。」


はい。


表紙撮影に私は関係ないのでは?


喜村マネージャーさは何処にいるの。


表紙撮影はかなりハードで、カメラメンのきついことばを浴びなから、田城ちひろの必死さを感じた。


私は汗を拭いたり、飲物を渡したり、はや着替えを手伝ったり。


喜村マネージャーがノコノコ現れ、すみません先に食事を済ませて来ました。


だなんて、呑気な事いってるから。


「喜村マネージャー、仕事してください。」


思わず怒鳴ってまった。


田城ちひろは目を丸くして驚いてるし、スタッフさんはクスクス笑ってるし、又やっちゃたみたいです。


ごめんなさい。










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