Special coffee, with you.【番外編追加】
驚いて前を見ると、お店のドアの前で安藤さんがこっちを見ている。

そして足を進めてこっちに歩いて来ると、目の前の彼女は逃げるように走り去ってしまった。

それを目で追っていると、そばまで来た安藤さんが心配そうに聞いてきた。

「大丈夫ですか？」

「あっ、・・はい」

返事をする私の顔を見ている安藤さんは納得していない表情をしている。

「どうしました？あの女性に何か言われましたか？うちのお客様ですよね」

「・・いいえ、大丈夫です」

「航太くんが教えてくれました。店内で茉優さんのことずっと見ていて、追いかけて出て行ったって。何があったんですか？」

「・・・」

せっかく安藤さんが心配して来てくれたというのに、何となくさっきの彼女に言われたことを伝えることができない。

口をつぐんでいると安藤さんは肩に手をそっと添えてきて、「部屋で待っていてもらえますか？」と言ってきた。

心配してくれる安藤さんを無視して帰ることはできない。

「はい」

素直に答えると、今まで心配そうな顔を見せていた安藤さんの表情が少しだけ和らいだ。

「急いで帰りますね」

「大丈夫ですよ、ちゃんと待ってます」

そう伝えたのにまだ心配なのか裏の入口まで付き添ってくれて、それからお店へと戻って行った。
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