オフィス・ラブ #Friends
堤さんの部屋は、畳なのだった。

といっても、現代的な半畳畳だ。


あえて呼ぶなら1LDKなんだろうけど、すごく変わった形で。

広い、長方形をしたフローリングのリビングの片隅が、6畳の畳の部屋になっていて、彼はそこを寝室として使っている。


畳の間の、リビングに面したふたつの辺は、障子で仕切ることができて、それが交差する角には綺麗な柱がすっと立っている。

この2面の障子を開け放すと、まるでリビングの一角に畳のスペースがあるように見えるのだ。



「面白ーい」



思わずそんな声が出た。



「でも、ベッドなんだ」

「布団を上げ下げする時間が惜しいから」



多忙ぶりを目の当たりにしているだけに、その言葉には真実味がある。


かすかに感じる、いぐさの香りが懐かしい。

畳って、なんでこんなに安らぐんだろう。



予告どおり、6月に入ってから、彼の仕事には少し余裕ができた。

といっても、前月比、という程度で。

やっぱり相当忙しくて、平日の夜を活用してやっと、会える時間を確保できるって感じだった。

家が近いことに助けられて、週に一回以上は必ず会っていたけれど。

そうすると、堤さんはたいして休めないまま翌日出社することになるので、身体を壊さないか心配で仕方なかった。


恵利たちなんて、さらに相手は激務のマーケで、いったいどうやって仲よくしてるんだろうって思う。



そんなこんなで7月に入って、今日は久しぶりの、双方オフの週末だった。

ゆうべ突然電話で、来たら、と誘ってくれたのだ。

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