となりの専務さん
「うん……なんかいろいろモヤモヤして、眠れなくて」

「俺でよかったら相談に乗るぜ」

大樹くんはそう言って、ズズズズとやたら大きな音を立ててうどんをすすった。
一見軽いけど、でもこれは空気を重くしすぎないための大樹くんの気回しなのかなとも思う。


……専務とのことはさすがに話せないけど、凛くんのこと、話してみようかな……? さすがに襲われかけたことは言えないけど、少しなら。男の子の意見が聞きたいってのもあるし、大樹くんなら真剣に聞いてくれそう……。


「……あのさ……」

私が口を開くと、大樹くんは「ん?」と私の目をまっすぐに見てくれた。
その目になんだか安心して、私はひとこと、

「あ、あのさ、実は生まれて初めて男の子に告白されてさ……」

と話した。


すると大樹くんは。

「え?」

と、彼に似合わない真顔で私を見つめた。


「い、いや、その、そりゃぁこの年で生まれて初めてなんておかしいだろうけど!」

大樹くんの真顔は想像以上に私を恥ずかしくさせた。
大樹くんと別れてからはなるべく男の子とかかわらないようにしてたしなぁ……なんてただの言い訳だけど。普通にモテないだけですけども。


……などと思っていたら大樹くんは。

「いや、そうじゃなくて」

「え?」

「生まれて初めてじゃないだろ?」

「ん?」

「俺、大学の頃、広香に告ったじゃん」


……え?
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