となりの専務さん
当然目を疑ったけど、間違いない。
髪はあのボサボサ髪じゃなくてちゃんと整えられていたし、当然スーツを着ていたから雰囲気もだいぶ違ったけど。

間違いない、響さんだった。


「え、あれウワサの専務? 若っ。あー、でも社長の息子だもんね。ていうか、性格はわかんないけど、めっちゃイケメンじゃない? って、広香?」

トモカちゃんがとなりで小声で話しかけていたような気がしたけど、私の意識は完全に響さんにいってしまっていた。


……確かに、響っていう名字はこの会社の社長と同じだな、とは思った。社長の息子が若くして専務に就いているというのも知っていた。
……けど、アパートのおとなりの響さんがその専務だとは夢にも思わないよ‼︎



……ていうかそもそも私、会社の専務(しかも社長の息子)とおとなりに住んでて、しかもその部屋の壁にあんな大穴を開けてしまったの⁉︎


響さんは私がこの会社に勤め始めることを知ってたのになんで私になにも言わなかったかはわからないけど……



私、クビになるんじゃ⁉︎
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