となりの専務さん
それから数十分後。自宅に帰宅した。

自宅と言っても、昨日からひとり暮らしをしているアパート。
築四十五年越えの古いアパートで、外観もいたるところがボロボロで、正直、崩れてしまうんじゃないかと思う時もある。各部屋にお風呂がついているのはありがたい。
家賃はさすがに安くて、月に二万二千円。駅やスーパーへは少し遠いけど、自転車(最近中古で買った、二千九百八十円のママチャリ)があるからなんとかなる。

……とにかく、家賃の安いところに住みたかった。


荷物は昨日、お姉ちゃんとお姉ちゃんのお友だちの方々数名に手伝ってもらってなんとか全部入れた。引越しセンターさんに頼んだら楽だったけど、お金かかるし……。でも、荷物は少ないので思ったよりは早く終わった。引越しのために車を出してくれたお姉ちゃんのお友だちには感謝だ。

荷ほどきは、今日の卒業式の準備とかで昨日はあまりできなかったから、これから本格的にやらなきゃ。

お姉ちゃんは今日も手伝うと言ってくれたけど……今はそんなに迷惑かけられない。昨日手伝ってくれただけで充分感謝だ。


自分の部屋に入ると、私はスーツからTシャツとジャージのズボンに着替え、さっそく荷ほどきを開始した。

少ない荷物と言っても、荷物の詰められた段ボールはいくつもあって、まったく大変じゃないわけでもない。

でも、がんばらなきゃ。これからもっと大変になるしね。こんなことで根をあげてたらなにも始まらない。




……これからこの部屋でとんでもない事件が起こるまで、あと十五分。
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