エリート上司と秘密の恋人契約
スマホを手にして、私は30分悩んでいた。

和真に電話をしようと思ったけど、出来ないでいた。

まだ時間は7時だけど、時差ボケがあって、もう寝ているかもしれない。

でも、もしかしたらサラと一緒にいるかかもしれない。

あのまま和真と帰っていたら、今頃一緒にご飯を食べていたかもしれないのに……私はバカだな。

婚約者役くらい喜んでやっていればよかった。


「あー! もう!」


スマホをソファーの上に投げて、頭を抱えた。


♪~♪~♪


誰?

和真?

投げたスマホに急いで手を伸ばす。


「はい……」


『美弥、ごめん』


「何が?」


和真からの電話が嬉しいのについきつく返してしまう。


『勝手なことをして悪かった。でも、美弥に会いたかったのは本当だよ。来てくれたのも嬉しかったし』


和真も会いたかったと思ってくれている。単純だけど、それだけで全てを許してしまいそうだ。


「和真、今どこにいるの? 一人?」


『家だし、もちろん一人だよ』
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