エリート上司と秘密の恋人契約
「じゃ、サラ。あとでな」

男性社員は私とチラッと見てから、サラの手を握り、軽く唇にキスをした。サラはにこやかに手を振る。

唇にキスは外国人にとって、挨拶のようなものだっけ?

挨拶は頬だったような……でも、二人の間にただならぬ関係を感じた。

鈍感な私でも分かる空気だ。


「星川さんだっけ?」


「はい、そうですが」


首からぶら下げているネームプレートの名前を確認するように見てから、私を呼ぶ。


「和真はあなたにあげるわ」


「はい?」


「和真は私のもの」とサラが言っていたのはわずか二日日前のこと。

あまりにも早い心変わりだ。本気なのだろうか。


「日本に来たくて、和真についてきたけど、よく見ると他にも男はいっぱいいるわよね」


「はあ……」


「私は日本人と結婚したいの」


「はあ、そうですか……」


サラの言おうとしていることが理解できなく、間抜けな返事しか出来ない。


「和真よりもいい男はいるわ。だから、和真はいらない」
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