エリート上司と秘密の恋人契約
「楽しく報告できるようになったら言いますね」


「そう? じゃ、待ってるわ。でも、美弥」


「はい?」


「なんか悩み事があれば、いつでも言いなさいよ」


一瞬ギクッとした。

さやかさんは、鋭い洞察力を持っている。でも、薄々何かを感じ取っていても、無理に聞き出そうとはしない。

ありがとうございます、ちゃんと話せるときがきたら話します……と心の中で忠誠を誓った。


「あ、星川さん」


背後から呼ばれて、さっきよりももっとギクッとした。この人はどうして不意打ちに声を掛けてくるのだろう。


「あら、諸橋くん。おはよう」


呼ばれたのは私だけど、さやかさんか先に反応をする。


「ああ、おはよう」


「連日でここに顔を出すなんて珍しいねー。そんなに美弥が気に入っているのね」


「まあね。で、星川さん、ちょっといい?」


「はい……」


パスワード入力画面から進めないパソコンを横目で見ながら、和真のあとに続いて、廊下へ出た。

出勤時間だから、多くの社員が廊下に立つ私たちを不思議そうに見ていく。

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