声が聞きたくて


「あずさ」


部屋に響き渡る声
それは昨日と同じで私を安心させてくれる声の持ち主


『……雅人さん?』


「おいで」


私の声なんて届くはずがない
声にならないのに
雅人さんには届いてるんだと
時々勘違いしてしまう


パーテーションで隠れていて
田村さんが言っていた来客が
誰なのかがわからなかった


パーテーションを覗けば、雅人さんがソファに座っていて、自分の横に座れと
ソファをポンポンと叩いた


私は躊躇することなく座る
そして、当たり前のように雅人さんは
私の腰に手を回すんだ


「問題なかったか?」


『うん、大丈夫』


「そうか」


やっぱり、この人には
私の声が聞こえてるんだろう
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