声が聞きたくて


ガチャ



どこかのドアが開く音がした
ガシガシという音と
誰かが歩く足音


それは間違いなくリビングへ向かっている


誰?誰なの?
動けない私の目線は
リビングから廊下へと繋がるドア



それがゆっくり開く
リビングに入ってきたのは……男


お風呂にでも入ってきただろう
洗いざらしの髪をタオルでガシガシ拭き
上半身は裸、下半身はスエットを履いている


タオルのせいで顔がよく見えない
身体は引き締まっていて、嫌いな身体じゃない……けど、痛々しい切り傷がある


その男はようやく私の存在に気がつき
男はタオルを肩にかけ
無造作に濡れた髪をかきあげ、私を見た
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