小悪魔な彼の想定外な甘い策略
って。恋する気、満々じゃん!と自分にツッコみつつ、楽しい時間を過ごす。

今日は結構混んでいて、カウンターの中の蓮田さんはとっても忙しそう。


……そして。
決して盗み聞きしているわけではないのだけれど、確かに他のお客さんには、きっちりとした、丁寧な敬語と態度で、THE マスター!って感じだし。

それがまた、ものすごく嬉しかったりして。

特別扱いって訳じゃないけど……そういうのに、すこぶる弱い私。

気がつくと、その甘めのマスクでお客さんの相手をしたり、カクテルを作ったりと働き続ける蓮田さんを見つめてしまう。


「なに?熱視線なんだけど」

手が空いたのか、愉快そうに言いながら顔を覗きこむ蓮田さん。

不意打ちの、吐息が掛かりそうな距離に思わずガタン!とスツールの上で跳び跳ねる私。

ほどよくざわつきつつも、静かめの店内においてその音はちょっと目立ったらしく、何となく感じる周囲の視線が痛い。
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