小悪魔な彼の想定外な甘い策略
当時は学校の先生になりたいなんて言っていたなっちゃんだけど、結局就活でトントンと進んだ大手の商社で勤務している。


『いつか、安藤って名字の富豪に嫁入りするから』
なんて軽口を叩きながら、その美貌と性格のよさを駆使してゲットした彼氏は、残念ながら名字こそ『あんどう』ではないものの、中々の好青年で、安定した関係性で付き合いも長く、羨ましい限り。

確かに、なっちゃんと私は素材諸々レベルが違うけれども、どうしてなっちゃんの恋は長続きして、私はダメなのだろう。


それぞれに頼んだワンプレートの他にも、シーフードサラダや、ブロッコリーのポタージュなどがところ狭しと並ぶテーブルに視線を落とし、暫し考える。


そんな私をよそに、なにやらなっちゃんはヒートアップ。

「あんたって子は、ほんっとーーーーにわかってない!何度同じ失敗を繰り返せば気がつくわけ?」

飲んでいるのはペリエのはずなのに、酔っ払いのように絡みだした友に若干の不安を覚えつつその綺麗な顔を正面から見る勇気のない私。
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