小悪魔な彼の想定外な甘い策略
それなのに、誉めすぎなくらい誉めてくれる蓮田さんにくすぐったくなりつつ、今度は買おうか迷ってたあのスモーキーピンクのニットワンピを買って着て来よう、等と思いを巡らせる。


「はい、どうぞ。もう、この間のオレンジじゃないけどね」


カクテルなんて全然分からないので、お任せと言ったら出てきたのは綺麗なオレンジ色。

グラスの脇に飾られたオレンジを見て思わず微笑む私。

「スクリュードライバーだよ。メジャーでしょ?」


″この間の″という台詞が、とにかく嬉しくて仕方ない。
私と蓮田さんの秘密のようで。


私を姫、なんて軽くあしらえるオトナな蓮田さんの、あんな一面を見られたこと、それをきっかけに今こうして居られることが、まだ夢のようで。

大体、一人でバーに通うようなこと、出来るなんて思ってなかった。
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