君とキスをした。

君とキスをした。





私は顔を上げて、綾瀬君に『じゃあまた明日』って言おうとした時だった。


綾瀬君も私の方を向いて、私を見ていた。やっぱり、改めて見てみると綾瀬君はかっこいい。



だけど綾瀬君は何か言いたそうな顔をしている。


ふと綾瀬君がつぶやくような声で



「川崎」



それだけ言って



私の頬に片手をそえて顔を近づけてきた。



綾瀬君の前髪が、私の前髪とぶつかる。
目の前に、真っ直ぐ私を見る切れ長の目が、高く綺麗な鼻が、薄い唇が映った。


私は綾瀬君が何をしようとしているのか、気づいた瞬間、




綾瀬君の唇が、私の唇に触れた。



綾瀬君は、私にキスをした。



でもそれはは触れるだけの軽いキスで、すぐにふわりと綾瀬君の顔が戻っていったから、私は下を向いて目を丸くしていた。

「川崎」


名前を呼ばれ、綾瀬君を見る。


「俺、川崎が好きだ」




綾瀬君が、悲しそうな顔をした。




その時、私と綾瀬くんに影を作っていた夕日が



沈んだ事に、私は気づかなかった。





< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop