生神さまっ!

五、主人公ハ私ジャナイ




「………私の罪は、決して許されない。


春乃よりも、夏樹よりも…誰よりも、重い。



目の前で死んでいく家族を見ながら…

私は『良かった』って、そう思ってたの」




真っ黒な感情。

白は、黒に染まった。



「…でも、私は…最後にカッコつけた。

亮太に頼りたくて頼りたくてたまらなかったのに…


……私、自分の罪を少しでも軽くするために、カッコつけたの」




黒の上から、白で塗りたくった。


最初はグレー。
けど、徐々に。


誰にもバレない"白"へと戻った。




「結局私は、ただの大罪人。

安全なココに来れたのは、間違いなく…両親のおかげ。そう知った。


私は2人の命を踏み台にして、この世界にいる」




本当は私なんか、笑ってはいけない生き物なのかもしれない。

ただ、感情のコントロールが効かなかった私が、あの時笑ったことは…本心のあらわれなんだ。




「ごめんなさい……ごめんなさい、って。何度も思い出すたびに謝るの。

けど、
私の脳裏に染み付いたあの映像は、途切れないんだ」



車内のミラーにうつった、
泣きながら笑う私の姿。


私を見ながら死んでいく、両親の姿。



「………何もかも、許されるはずなかった」




私は無言で、帯を緩ませる。


しゅるり、と解けた帯の向こうにある、下着型の白い着物のお腹あたりをめくらせた。




肌色とは明らかに違う、赤に近い茶色の10cmぐらいのヤケド跡が左の腰からお腹にかけてある。





「…これだけが、残った。

たったこれだけ」






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