生神さまっ!


「わたしのしがない秋の力じゃ…

あの卑弥呼さまと義経さまに、"秋"が揃い勝ってしまった彼等季節の生神4人には、勝てないですねえ…」




「…負け戦、とでも言いたいのか?


……道真(みちざね)」





スサノオ一派が集う部屋。

置いてある椅子の半分の主は、消えてしまった。




「……そうかもしれませんね。けれど、それはわたしの場合だけ、です。

……あなたはあの4人に余裕で勝てるはずですからねえ」




「ふん……つまりお前は…あの2人と同じことを繰り返すと言うのか」




「…最初は迷ってましたよ。

わたし達、季節に関する神は自分の季節が来ると他の季節の時より力がかなり増す…
…だから卑弥呼さまと義経さまは、それぞれ春と夏に彼等を襲ったのですからねえ。


しかしその大きな力を持ってしてでも失敗したのです…わたしは秋に襲撃し負けるより、あなたと共に冬に彼等を襲撃し、少しでも力になれば…そう考えました」




「だが今は…ということだろ?」




「ええ。

わたしは卑弥呼さま、義経さま同様、人界の人間共を恨み恨んで…その心までもが黒に蝕まれ、邪気を含んだ魔物となりかけたところ…

…あなたさまに拾われました。



魔物とは…人界にいた時に何らかの理由があって、恨むか何かで心が狂い、

自分を制御できなくなった時…人界に辿り着き人界とは違う力を体内に得たことによって生まれるものですからねえ」






< 427 / 686 >

この作品をシェア

pagetop