生神さまっ!
ええ、と言った元彰は、お茶を一口飲む。




「…まあ、その条件が揃わないことを祈りますけれど」



湯のみを置いて、亮太とよく似た綺麗な顔で彼は笑う。




「お守り、とでも思ってください」



「…あなたがお守りなんて柄じゃないですね」



「…結構今まで思ってましたけど、秋奈様って僕に辛辣じゃないですか?」



「しょうがないでしょう」



紫色の巾着袋を手にとって、私は立ち上がる。




「未だに、あなたに重ねてしまいそうになりますから。


こうでもないと、逆に私は…」



「僕に頼ってしまう、と」



「…はい。でも、嬉しいと思います。あなたとこうゆうノリ、っていうんですかね。

軽い感じで話せて」



襖を開く前に、ちょっと振り向いた。




「敬語とはいえ、私に心を開いてくれている感じがしますから」





失礼します、と言って私は襖を出た。


紫色の巾着袋を、ぎゅっと握って。




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