あるワケないじゃん、そんな恋。
朝になってドキドキしながら準備した。

ゆるふわパーマは簡単に手ぐしで整えるだけでオッケー。

後はこのニットワンピを着て………



「キャン!キャン!」

「えっ?似合う?」


ウソウソ。
ペソはそんなこと言ってないから。


私の妄想。気にしないで下さい。


「何かジュエリー使うか……あっ、でも時間ないっ!」


いいや、ストールを巻いて行こう。
あったかいし。



(やっぱ色気なくなるんだよね……寒がりってだけで………)





待ち合わせは職場のある駅前。
二人の家の中間地点がそこだから。



(羽田は…まだか……)


女子を待たせるとはダメな奴。
またサプライズでも考えて寝坊した…とかじゃないよね〜〜?



「うっ……寒ぅ……」


早く来てぇぇ羽田ぁぁ……また風邪引きそう……。




「……えっ?菅野?……」


後ろから声がする。
振り向いたら、鼻の頭赤くした羽田が立ってた。


「なぁ〜んだ、そっち側にいたの?見えないからわからんっ…………どうしたの?」


目、剥いてるよ。
何か驚いてる?


「お前……髪……」

「ああ、コレね。昨日仕事帰りに切ったの!ウザかったからスッキリよ!」


ホントは羽田とデートだから切ったんだけど、そうとは言えないからね。


「似合う〜〜?なぁんて!」


ふざけながら言うのはいつものこと。
笑われる前に自分から笑いにしてしまおう…と思ったけど………

< 153 / 209 >

この作品をシェア

pagetop