それいけヒーロー部

「スパイダーはあんな苦しい状態で戦ってたのな…」



体育館裏というなんとも定番な場所でカツアゲをしていた2年の先輩たちを発見したざらめからの連絡で、あたしの初仕事が決まった。


実に入隊から5日目のことである。



現場に急行し、5人いた先輩たちを伸していく。




途中モノローグを挟めるくらいには余裕だったが、息の吸いずらさには参った。


今は11月で寒いからいいけど夏場だったら蒸されてしんどいと思われます。




「ま、とりあえず初仕事おめでとう。」


「マリリンのばかばか薄情者助けろくださいもう辞めたい。」


「えー!ダメだよ!折角仲よくなれたのにそんなの寂しいジャン!」


「銀次郎はいつだって元気だなぁ。」


「文彦だってば!」


「はいはい。わんわん。」


「くるみが壊れてる。」


「陣野くんはハスキーね。」


「はぁ?」





初仕事を終えてクラスに戻ってくると、いつものようにマリリンが待っていてくれた。

しかもおいしい牛乳付きである。



そしてなぜか最近くっついてうちのクラスに入ってくる銀次郎と陣野くん。

もう犬だと思うことにした。



銀次郎の頭をなでると、きょとんとした目をこちらに向けてくる銀次郎。

はいはい、かわいいかわいい。




「銀次郎、良い子だから自分のクラスに帰ろうな。」


「…くるみ、お前眠いんだろ。」


「マリリン、あたしは銀次郎にモフモフしながら寝るのが好きだった。犬臭かったけど。」


「起こしてやるからもう寝ろ。発言が意味不明だ。」


「いつものことである。」





お昼休みはあと10分。
ちょっとだけ意識を手放そうか。






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