クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
だが、ひよこは……危なっかしくて見てられない。

もし……あの台風の日、オフィスにいたのが他の社員なら、俺はひよこほど気にかけなかったかもしれない。

織田だったら確実に置いて帰ってたな。

「こっちに調味料がある。味は味噌にするか?それとも醤油ベース?」

「朝比奈先輩はどちらが?」

……この主体性のない答え。病み上がりのひよこのためになるべく消化に良いものをと思ったのに、俺の好みを聞いてどうする?

俺に対する……この態度、どうにかしないとな。

「お前はどっちが好きなわけ?」

溜め息交じりの声で聞くと、ひよこは俺を仰ぎ見て恐る恐る口にした。

「……醤油ベースです」

こうして俺とひよこのぎこちない同居生活が始まった。
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