クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
面倒な奴に知られたな。

「タクシーを捕まえられるような状況じゃなかった」

冷淡に答えながらビールを口に運ぶと、真田はニヤリとした。

「それでも、朝比奈はお金で解決したはずだよ」

「お前の口振りだと、俺はかなり酷い奴のようだが?」

“心外だ”と言わんばかりに片眉を上げて、じっと真田を見据える。

「間違っていないでしょ?でも、池野さんは特別なんだね。先週見たんだよね。コミュニティースペースで朝比奈が池野さんにキスするの。それは、どう言い逃れするのかな?」
真田は俺に向かって不敵の笑みを浮かべる。

「お前の視力が落ちたんじゃないのか?」

冷ややかな目で告げると、真田は楽しげに笑った。

「素直に認めたら?池野さんに興味あるんだよね?でなきゃいくら絢香ちゃんが怒っても、池野さんと同居なんてしないでしょ。朝比奈を見て逃げる女の子なんて希少だもんね」

……ぐだぐだ煩い。まともに答えるのも……面倒だな。

俺は反論する気も失せて無言で鍋をつつく。
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