クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
13、私の魔除け
次の日の定時後、事務処理をしていると、織田君が出先から戻ってきた。

「あ~疲れた~」

スーツのジャケットを脱いで、織田君が自席の椅子の背もたれにかける。

「織田君、お帰りなさい」

私が織田君に向かってにっこり微笑むと、彼は椅子を私の方に動かして背もたれを前にし、腰かけた。

「佐藤さんはもう帰ったの?」

「ええ、十分程前に帰りましたよ。旦那様と駅で待ち合わせしてて、今日はデートなんですって」

赤ちゃんが生まれる前に、二人だけの時間を楽しむって素敵だな。

いつか小説でこのネタを使わせてもらおう。

私が羨ましそうな顔をすると、織田君がフフっと笑った。

「そうなんだ。じゃあ、今話しても大丈夫だな」
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