クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
【番外編】お互いの覚悟 ー絢香side
「……一五〇三。ここだ」

お兄ちゃんが教えてくれた真田さんのホテルの部屋番号。

モーターショーのプレスデーの夜、私はスーツケースを持って真田さんのホテルの部屋の前にいる。

ここまで来てなんだけど、緊張で手足が震える。

私の顔を見たら追い返すかな?

真田さんは兄の親友で会社の同僚。端整な顔立ちで、優しくて女の子に凄くモテてて……私の好きな人。

彼が来るもの拒まず主義なのは知っている。でも、親友の妹である私には絶対に手を出さない。

狡い人だなって思う。

誕生日にプレゼントをあげても、バレンタインにチョコをあげても、いつも真田さんは『ありがとう』って優しい笑みを浮かべるばかりで、全然相手にしてくれない。ずっと子供扱いだ。

親友の妹だから女として見てもらえないのだろうか?

私だってもう二十歳を過ぎた大人だ。

小学校からずっと真田さんが好きで、他の男の子に告白されて付き合ったこともあるけど、やっぱり真田さんを超える人はいなくて結局すぐに別れた。
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