KISS or KISS?―メイクアップ・ハロウィン―
今夜のイタズラは、魔法。ハロウィンの晩だもの。
わたしは魔法にかけられて、誘惑されてしまった。
わたしがこの手で創り上げた、今夜限りの美しい魔女に。
彼から、そっと目をそらす。
高鳴る胸はまだ隠していられる。
わたしはまだ、大人の女性を演じていられる。
「そろそろ行ったほうがいいんじゃない? ドレスとヒールでは、無茶な動きはできないわよ」
「……はい」
立ち上がろうとする彼に手を差し出す。
彼はわたしの手を取った。
しなやかで大きな手。ふわっとした握り方しかしない、臆病な手。