恋も試合も全力で!【番外編】
「好きな人が、いるの」
あたしは、正直に言った。
あたしは遼多が好きだから。
遼多以外、見えないの。
「そっか…分かった。ありがとう」
木ノ本くんは、微笑みながら言った。
なんでこんなに優しいんだろう。
遼多は絶対こんなこと言わないもんな。
性格もトータルすると、木ノ本くんの方が上かも。
けど、それでもあたしは遼多が好き。
だから木ノ本くんに、最後の優しさを見せた。
「こっちこそ、告白してくれてありがとう」
木ノ本くんは微笑んで、階段を下りていった。
あたしは階段を上にのぼる。
木ノ本くんの勇気、あたしも欲しい。
遼多に告白する勇気が、欲しいんだ。
今の関係さえも崩れるんじゃないかって、怖くて告白できないんだ。
弱虫なあたし。
けれど、この日を境に、遼多の態度が変わった。
もしかしたら……
そんな期待を胸に、あたしは勇気を出したんだ。
《END》