先生と私


小学校の校舎を通り過ぎながら、わたしはそんなことを思い出していた。


3年間通った中学の校舎に入り、わたしが向かった場所は、英語科教科室だった。


コンコンと、わたしはあの頃と同じようにドアをノックした。


「………」


しかし、誰も出てくることはなかった。


春休みだし、どこかに出かけてしまったんだろうか。


わたしはそう思い、元来た道を引き返そうとした。


その時だった。


「野中さん」


< 35 / 51 >

この作品をシェア

pagetop