こじらせ女子の恋愛事情
「さすが、クソチャラ男だわ。

やることなすこと、本当にクズ。

こう言うのを“ゲスの極み”って言うのね」

ブツブツと毒づく私だけど、胸の痛みがまた復活していることに気づいた。

おかしいな、さっきまでは何もなかったのに。

「鎮まれ、鎮まれ…」

胸に手を当てると、痛みを落ちつかせるために深呼吸をした。

社内や社外で追いかけ回されて迷惑だったこと。

ハワイアンカフェで一緒にご飯を食べたこと。

松坂くんの車で海に行って、ほんの少しだけだけど時間を過ごしたこと。

頭の中で走馬灯のように、松坂くんとの思い出が流れる。

「これであいつにつきまとわれることなんてなくなったから、それでいいじゃない…」

その思い出を消すように、私は呟いた。
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