【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
近くにいたのに遠かった
結局、朝までタクの家で睡眠を取り、タクに家まで送ってもらう事になった。


「こんな早くに、迷惑じゃないでしょうか?」


「早朝だから起きないだろうし、どうせ母さんはまだ帰ってませんよ」


タクの質問に、まるでいじけてるみたいに答えてしまう私。別に淋しいとか、そんな感情はとっくの昔に母親に対して抱いていないのに。


そんな私へタクはふわりと微笑むと、私の頭をくしゃりと撫でた。


「美姫、うちに居場所がないならいつでもおいで。僕なら君の居場所になれると思います」


そんな優しい一言、止めて。きっとタクは、手を繋いだことも優しい言葉も流れでやっているのだろうけど、もう、私達はそういうのを純粋な気持ちで受け止められない関係になっているんだよ?


タクと私は俗世間に言う『セックスフレンド』なんだ。気持ちが通じる事が無いと分かっていながら、身体を繋げた男と女。


私がタクを貶めた。私が望んだ。だから、タクの優しさを拒否する事を許されない。それこそ私の罪と罰。


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