【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
さよならの向こうに



私服で学校にいることなんて初めての事で、バレてしまったらどうしようという緊張感と、これからの事への不安に、心臓が潰れそう。


クリスマスも過ぎ、大晦日のこの日に私は、部活さえやっていない学校の校庭にいた。


ここで待っているのは……蒼次郎。私と、三年以上も恋人でいてくれた人。


あのクリスマスの翌日、私が電話した相手は蒼次郎だった。蒼次郎に私の今の気持ちや母との事、タクの事を全て言おうと決意したからだ。


けれど、なかなか電話に出てくれなくて、もしかしたらクリスマスの日のことが気まずくて出ないのかな、と思っていたら、四日経った昨日の夜にようやく、蒼次郎から電話がかかって来た。


蒼次郎はクリスマスの日から風邪を拗らせて寝込んでいたらしく、申し訳なさそうに謝っていた。


つくづく私達は歯車が噛み合わない。あんな不安な別れ方をした後熱を出した蒼次郎は、どんな事を考えていたのかな。
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