【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



私が歌川卓志さん……タクのことで知ったのは、彼が現在二十五歳だという事。


出身校は高校から大学まで、星ヶ丘学院という有名な、超が付く程の名門男子校であるという事。


今勤めている会社は元々学生時代からバイトとして勤めている、関東圏では有名なイケメン男子しか雇わない喫茶店の一期生で、そのまま社長秘書として就職したという事だ。


美形だとは思っていたけれど、あのお客さんでいつも賑わっていると有名なお店で働いていたのならなんだか納得してしまう。


知っても知っても、もっと彼の事が知りたくなる。 こんな感情、これまで感じた事が無い。


私には彼氏がいるのに……他の男の人を知りたいと思うのは、変なことなのかな?


いや、男と言ってもタクは大人。私はこんなに年上の人と話す機会なんか親と先生以外にほとんど無いのだから、当たり前な筈。


だから、この胸の高鳴りのようなものもきっと普段あまり湧き上がらない好奇心が具現したものに違いない。だから、蒼次郎に罪悪感を感じる必要なんて無いんだ。
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