【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
溢れ出した、もう止まらない
お店の監査員を引き受けて一ヶ月。私は初任給というものをもらった。


といっても、物欲の薄い私は何を買っていいものか分からず、銀行に預金したままだ。


高校を卒業したら就職するつもりだから、一人暮らしの資金にでもしよう。


金曜日に入った給料日の使い道を考えながら私は今日もチェックリストの項目に目を通した。


「……あ、花の手入れがちゃんとなってない」


私が目についたのは入口に設置された花の枯れ落ちたものがいくつか落ちていたこと。


この花は初めてここに来た時の少し物足りなく感じた私の意見を考慮されてのものらしい。


確かに、これが設置されてからは少し華やいだように思えた。


店内にも観葉植物やブリザードフラワー、それからこれも私の思い付きがそのまま形になったのだが、店内の照明とインテリア小物、壁に小さな額縁で写真を飾る等、シンプルだった店内は少しだけオシャレさせてあげたりと、少し変わったのだ。


お店に関しては男性がほとんど関わっていた為シンプルだったしそれでも良かったが、お客さんからの意見も良いもので良かったと零さんに言われて喜んでいる部分もある。
< 88 / 211 >

この作品をシェア

pagetop