3年後の約束。
卒業式前日。


卒業式前日。


私は先生に渡す書類があったため、一人朝早く登校した。


職員室から教室戻ると私は、

もう明日卒業かあ。
あっという間だったなあ。
もうすぐ高校生だなあ。

と、ぼんやり席に座って教室や外を見ていた。


外では寒い中、白い息を吐いて後輩達が朝練をしている。

それを見て部活のことを思い出したりしていた。


すると、教室の後ろの扉が開いた。


向井だった。


向井「あれ、おはよ。なんでいんの?」

私「いやいや、お前もなんでいんの?」

向井「俺?朝練だけど。」

いやいやいやいや。
お前もうとっくに部活引退してんじゃん。
てか、明日卒業じゃん。

私「え、なんでだよ。」

向井「なんでって、部活やりたいからに決まってんだろ。」

私「もう引退してんだから、後輩かわいそうじゃん。」

向井「いいんだよ、べつに。」

そうだ、こいつ部活バカってこと忘れてた。
こいつの後輩はかわいそうだな。
先輩なんか来たら邪魔だろうに。


この寒さの中ずっと走ってたからなのか、向井の体からは湯気がでているようだった。

向井「それで、お前は?」

私「先生に書類出しに来た。」

向井「へー。」

聞いといてなんだその態度は。
別にいいけど。


しばらくの間、沈黙が続いた。

しかしそれは、気まずいものではなかった。
むしろ心地よいくらいだ。


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