恋がしたい。ただ恋がしたい。

**


***

ぐでんぐでんに酔っ払った私は、私達を迎えに来てくれた紫の弟の裕介(ゆうすけ)くんに管を巻いていた。


ちなみに付き合っていたはずの男にプロポーズを見せつけられて振られたコトの顛末は、紫が最初から最後まで包み隠さず説明をしてくれた。


「ねぇ…ゆーすけくん…わたしの何がいけなかったのかなぁ…。」


「そうだねぇ…」


首を傾げながらちょっとだけ考えて、祐介くんはのんびりとした口調で話始めた。


「その男は香織ちゃんに甘えきってたんじゃないかな?そんな感じしなかった?」


うーん…


亨に言い寄られて付き合い始めた頃は、彼のほうが熱心だったし…マメだったような気がする。


それにほだされたのがいけなかったのか…好きになったらのめり込んでしまうこの性格がいけないのか…


気がついたら、彼の身の回りのことを自ら進んでやってしまっていた。


一時は実家暮らしの亨が私の家に転がりこんで来て、半同棲みたいな付き合いをしていた。


だから、亨の服も私の部屋にはずいぶんと残っている。


それだってよく思い返してみたら、彼が運んで来たというより…


ずっと亨が居ても困らないようにと、私が買って揃えておいたものばかりのような…


…あれれ?


「何をしても香織ちゃんなら許してくれる。ちょっと他の女(コ)と遊ぶぐらいなら。…たとえ浮気に繋がったとしても。香織ちゃんは優しくて心が広いからね。たぶん最初のきっかけなんてそんなもんだったと思うよ。」
< 13 / 270 >

この作品をシェア

pagetop