君に熱視線゚
2*新校舎

「あ、なえちんおはよう!!! 夕べ眠れた?あたし、なんだかすごいドキドキして寝たかどうかわかんないよ~」

小走りで駈けてきた由美は息を切らしながらそう口にしていた。

晴樹の言った通り、結城学園の新校舎も出来上がり、苗達 二ノ宮高校の全生徒は今日から結城に登校していた。

二ノ宮高校の土地も結城が“都庁”から買収し、全てが合併される。
歴史を刻んだ校舎は傷みも激しく今朝から工事が入り、早速解体作業が始まっていた。

解体が済めばまた新しい部室や体育館などが建てられる。

代わって結城学園の歴史はほんの五年と浅いが、今回の合併のお陰で昔の二ノ宮高校と同じマンモス校となった。

実はこの結城学園を創設したのも財政難の二ノ宮を救う為に晴樹の祖父…

結城 茂樹 (学園理事長)

が、二ノ宮の土地を半分買収して建てたものだった。

それでも財政立て直しができず、結局全てを結城に委ねるしかなくなったのだ。

苗達 二ノ宮高校の生徒は結城家に救われた事になるのだった……。

「う~ん新校舎の匂いって感じがする!」

苗は由美と新しい教室に向かいながら鼻をフガフガさせていた。

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