君に熱視線゚
4*初夏

「はぁ……」

「何、なえちん浮かない顔してどうしたの?」


高校生活初めての初夏を迎えて結城学園にも慣れた頃、可愛い夏の制服に身を包み浮かれる女子生徒が増える中、ただ一人暗雲の陰を宿らす者がいた…



由美は元気のない苗に声をかけた。


「ウチの隣がさぁ……マンション建て始めたんだよ…日当たりが悪いのなんのって……」

「なんだそんなこと?‥あたしは又、苗んとこのオトンが警察に捕まったかと思ったよ……酔っ払ってバス停、移動させてさ」


「不吉なこと言うのやめておくれ。ただでさえ身重のオカン抱えてるのにっ…でもさぁ、ウチの洗濯物の量って半端じゃないじゃん!
ガッツリとお日様当たってくれないと乾かないんだよね」


「なるほどね……もう、主婦の悩み事ベスト4に入るネタだね」


「ほんとだよ……」


苗達がシビアな語りをしていると妙に浮かれた奴がやってきた。

「苗ー!由美ぃ!!
見て見て、じゃあ~ん!
結城の夏服!!作っちゃいましたぁ
どぅ!?可愛いっしょ? 」


中島は苗達の前でしきりにターンをしてポーズを決めている。

「あっいいねぇ中ちゃん!!もっとターンして!」

「え、そぉ!?」


苗のお立てに乗った中島はしきりにターンを披露する。
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