君に熱視線゚

「拓海(たくみ)さん久しぶりです。今日はムリ言っちゃってすみません」

「いやぁ、別に構わないよ。晴樹が頼み事なんて珍しいからね!
ここで恩でも売っておけば後々ウチも安泰だろ?ははっ」

「俺に恩なんか売ったって何の得もないですよ?結城は兄貴達がもう継いでるから」


「何言ってんだよ!
一番の稼ぎ頭のくせしてっ。儲けてるって聞くけどな。コレで‥」


拓海はそういうと両手の指先を動かしてパソコン操作の真似をして見せた。


「じゃあ、早めに済ませるかな。この子の制服でいいんだろ?」


「ああ。苗、この人がウチの制服のデザインしてる拓海さん。イタリアの有名なデザイナーなんだ」

「そうなんですか!
この度は、お世話になりますっ」


苗は深々と頭を下げた。


「いやいや、こちらこそ」

苗の丁寧なお辞儀に拓海も慌てて頭を下げる。

「はは!中々、感じのいい嫁さん候補じゃないか?
どうやって見つけたんだ?ん?」

からかうようにちらりと見る拓海に晴樹は小さく口にした。

「……妹…みたいなもんだよ…」

「……そか…」

(えらい間を開けて赤くなりやがったな?…もしかして本命か?)

拓海はほんのり色づく晴樹の表情を見て思っていた。
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