好きも嫌いも冷静に


「で、どうした?話っていうのは?」

「ああ、大家さんの事なんだ。空き巣の被害が近所であった日、ここに来ただろ?
あの後、俺、大家さんちに泊まったんだ…その、怖いから、大丈夫じゃないって言うから…」

「ほう…」

意味深な顔で見ている。まあ、言わんとすることは解るが。

「最初はここでって、ベッドで一緒に寝て欲しいみたいな感じで言われて。あー、その前に。
話してたら眠ったから、運んだんだ、ベッドに。そしたら急に起き上がって、そう言うから、それはダメだって言ったんだ。
そしたら抱き着かれてしまって…泣かれてしまった。我が儘を聞いてって。
俺、…大家さんがあまりにも一所懸命で一途に言うから…、涙拭ってたらキスしてた。それに抱きしめてしまった…。
俺どうしたらいいんだろう」

「伊織…。随分赤裸々に言うじゃないか」

「ああ、聞いて貰わないと話にならないから…」

「……。ま、いい。で?その後は?」

「後?やっぱりソファーで一緒に座って居たいって言われたから、ソファーに運んだ」

「それから?」

「大家さん、すぐ眠ったんだ」

「安心したんだろうなぁ」

お前と居られて。

「そうなのかな…。温かくなって睡魔がきたみたいだった。それに、普段から夜更かしはしてないみたいだし。時間的に眠くなったんだと思う」

「それから?」

解ってないわねー。

「ベッドに寝かせて、朝まで居て帰って来た」

「で?」

何で帰るのよ…バカ。

「で?え?」
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