恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
知りたくもない高遠情報をこんなにかき集めてしまったのは、隣で教壇を見つめる小林のせい。
そんなにいい男かと、観察し始めたのが始まりだった。
低すぎない声はよく通っているし、話し方も丁寧で聞いている分には不快は感じない。
ひとつひとつの仕草も大人の男って感じで、なんでもすんなりこなしてしまいそうな器用さ。
……弱点はねぇのかよ。
闘うにも、まずは敵の姿を知っておこうと息張ってたオレだったけど、高遠の完璧ぶりに、早くも戦意喪失気味……
オレが負けないところって言ったら……若さくらいだったりして。
……シャレになんねぇ。
教壇の上でスムーズに授業を進める高遠は、不自然なほどに一度も小林を見ようとはしなかった。
こんなにも見つめている小林に気付かないはずがないのに……
つぅか、2人きりじゃ会わない事を決めたんなら、授業中くらいしか見られる時なんかないんじゃねぇの?
目くらい合わせればいいのに……
一途に、ただ高遠を見つめる小林の姿がやけに不憫に思えてきてしまって、オレは小林から目を逸らす。
……いや、半分はそうだけど、あと半分の理由は……
自分勝手なやきもちだ。
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