さよなら苺飴


そういい君はもう一度席に戻あてきた





「車の鍵がなくてさ、開かなくてびっくりしたよ」


ハハ、と軽快に君は八重歯をチラつかせながら笑った


ああ、言おう
あの時のことを謝ろう


今までずっとーー「あのさ」


言おうとした瞬間に君は口を開いた



「結婚おめでとう、」


一瞬にして私の頭は真っ白になった



「ここは噂が広がるの早いから知ってたよ」




「・・・・・・そう、なんだ」



「おう、幸せにな」



「うん、あなたも彼女さんとお幸せに」


君は驚くことなく綺麗な笑顔で笑って見せた

「ありがとう、」




そういって君は振り返る事なく店を出た



結局言えなかったけど




きっとこれでよかったんだろう






次会う時はいい幼なじみとして


君に彼を紹介しよう



きっと君と付き合った日々はいつまでたっても私の一番の思い出だろう




きっと私達はもう紅茶みたいには甘くない




過去に戻れたら甘い珈琲が好きだった君に会えるのにね



そんな下らないことを思いながらみせをあとにした






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