セピア‐ため息の行方
  此処は警察署である。
交通事故を起こすと運転者は法的に3つの責任を問われる。まずは刑事責任で業務上過失致死・業務上過失傷害・道路交通法違反、次に行政責任・運転免許の取り消し・免許停止等そして民事責任、損害賠償等である。それに民事上の損害賠償と警察の立場としては、交通事故で死亡して、けがをした場合相手方に対して財産的損害・精神的損害の損害賠償の請求が出来る。


  峻甫の場合は相手の女性が意識不明の状態であるので、業務上過失致死・業務上過失傷害のいずれかに問われ、次に道路交通法違反、そして行政責任・運転免許の取り消し・免許停止等さらに民事責任、損害賠償等と続く。
 

  峻甫は交通事故を起こして警察署に来たのはこれが初めての経験である。警察官の態度はどこか威圧的だった。それはそうだろう。この僕は交通事故を起こして人を一人轢(ひ)いてしまったのだから。と漠然と峻甫は思った。


  それにしてもあの女性はどうなったのだろうか?もしもあの女性が不幸にも死んでしまったとしたならば僕は即殺人者になってしまう。峻甫は今更ながらにその罪の重さにガクゼンとした。そしてその驚怖に驚愕(きょうがく)し、自然と体全体がブルブルと小刻みに震え出した。
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