セピア‐ため息の行方

3‐突然の旅立ちと出逢い

  星空が食べた物を吐いて不整脈を繰り返し集中治療室に搬送されてから星空は口から物を食べる事が出来なくなり、必然的に点滴でしか栄養をとる事が出来なくなった。


  そんな星空は日に日痩せ衰えてゆき次第に手足の筋肉と脂肪が落ちて、可哀想なくらい痩せ細ってきた。そしてその頃になると星空は呼吸も自力では出来なくなり、酸素吸入を余儀なくされた。この時内海は星空の様子を見ていて『末期癌と言うのはこんなにも急激な経過を辿るものか』と改めて思い知った。


  やがて少しでも現状を維持するための延命治療が施された。だが次第に血圧が下がり呼吸の間隔が段々長くなって、星空は眠るようにして天国へと旅立った。
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