セピア‐ため息の行方
  ちなみに間近で見るとその花々は何故か?峻甫が見た事もない珍しい品種の水仙やチューリップにアリウムそしてムスカリなどの、球根類ばかりである。だから多分花を栽培して何処かに卸して販売をするための畑なんだろうな?と峻甫は漠然とそう感じた。


  そこで峻甫は取りあえず近くの民家でこの場所が果たして何処なのかと言う事を聞いてみようと思って、歩幅をやや広くして心持ち急ぎ足で歩いた。少し歩いて民家の傍まで来るとピンク色の山茶花の生け垣が見えてきた。


「あれ?!さっきはピンク色の山茶花の生け垣なんて見えなかったのに。可笑しいな……?」
  と独り言を言うと峻甫はクルリと踵(きびす)を返した。


  すると自分が真っ直ぐに歩いて来た道がやや緩やかな坂道になっている事に気がついた。尚、緩やかな坂道が続いていると言う事は、つまり道が少しずつ高台に向かって伸びているからである。


「ああ、なる程……」
  と峻甫は一人で納得して小さく頷いた。
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