【空色の未来[海色の過去]】
涼介side




俺は起き上がって空を見上げた…



青空が目の前一杯に広がっていて気を抜けば吸い込まれそうだ





気づけば隣から歌が聞こえなくなっていて
顔を向けると




美緒は仰向けで寝ていた…





ったくしょうがねえな





俺は自分の持っていた学ランを美緒にかけた






夏だけど、風邪引くしな…




そして俺も一緒に寝た





ちょっと怖かったけど、
美緒の手を繋いでみた…





すると、美緒は拒むんじゃなく
弱々しく握り返してくれた





それが凄え嬉しい…






いつの間にか何年ぶりかの
深い眠りに落ちていた







 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
響也side




「彼奴等遅くねえ…」



「涼介、美緒ちゃんに暴力してないかな」



「少し長すぎますね…」




佳祐や夏樹、さすがに朔弥までも
長すぎる…と二人を気にかけ始めた







流石に長すぎだな…




「行くか」




俺は屋上のドアに手をかけた






プルル~




「あ?」



『響也、調べたんだが…』



「それで、どうだった?」



『……何も出てこなかった。』



は?



「どういう事だ?」




『俺にも分かんない、こんなの初めてだ。情報がたったの名前だけなんて…』




「そっか…分かった…。」





誰かが彼奴の情報隠してるってことか…





ほんとに何だよ彼奴




まあ本人に聞いた方が速いな




ガチャッ…キィー…バッタン





………………。




俺達は今目の前の光景が本当に起こっているのか信じられなかった



あの涼介がだ…


ありえねえ、嫌おかしすぎる…




俺達の目の前には
女をあれ程嫌って、見るのも嫌がった
相当女嫌いの涼介が…



あの美緒って言う女に



自分の学ランをかけて
手を繋ぎながら横でくっついて寝てる…






おい、明日雪降るんじゃねえか?


いや嵐か…?





「おーい!!涼介!!どういう事か説明しろ!!」




「夏樹五月蝿え、美緒が起きる…」





涼介は美緒に掛けてる学ランをかけ直してやりながら、夏樹に小さな声で呟いた




てか女の名前彼奴の口から聞いたの
初めてだな



それよりも…




「涼介、もう平気なのか…」




トラウマになるほど
女を嫌っていたんだから、
そう簡単には治んねえはずだ





「いや…まだ無理だ。」





だけどな… 涼介はそう続けて俺に強い眼差しを送った





「この女なら…美緒なら、大丈夫な気がする。」





そして、美緒に俺達も初めて見る
優しい顔で美緒の手の甲を撫でた…




凄え涼介の進歩に俺は美緒に
初めて感謝した




涼介に勇気を出させてくれてありがとう




改めて美緒が何者なのか気になったが…
今目の前で眠っている美緒に気づかれずに俺は微笑みかけた…




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