【空色の未来[海色の過去]】




あー・・






これはいわゆる迷子だね…







誰か居ないかな




ん?



前から男の子が向かってきてる…




丁度良い、案内してもらおう





「ねえ、君」





「あ゛?」



「理事長室まで案内してくれる?」




「ハッ、何で俺が…」




「あっそ、なら別の人に聞く…」




私はさっさと案内して貰いたくて別の人を探していたらまた前から男の子が走ってきた。



「おっ佳祐どした?また女子苛めてんのか
?」




自分も加えろと言わんばかりに男の子が近寄ってきた。



「ちげえよ、この変な女が俺に媚び売ってくんだけど」




何故だか軽蔑の眼差しでこちらを見る馬鹿男。



「女なんてそんなもんだろ…?」






怒り顔全開の仔犬みたいな男。












……なんかアホらしい。





何で初めて会ったあんたたちなんかに媚び売るんだよ。





めんどくさ








「妄想はそこまでにしてくれる?」








二人はさらに私を睨み付けたのと同時にハッとして驚いた顔をしてみせた








「私は理事長室は何処かって聞いただけでしょ?あんたたちに付き合っていられるほど暇じゃないの…」






二人はさらに驚いた顔をした。








「驚いたな…俺達に媚びてこねえ女なんて初めてだよ。」






本当に驚いたように仔犬くんが言った




「それで…理事長室はどこ?」







さっさとこの場から移動したい私は仔犬くんに話をした。



すると仔犬くんは折れたようで理事長室まで案内してくれるそうだ。


仔犬くんと一緒に馬鹿男もついてくるようだがさっきから探るような視線をさしてくるからはっきり言って鬱陶(ウットウ)しい。





私は気にせず歩くことに決めた…






「お前、名前は?」






馬鹿男が聞いてくる…

けど、無視…




「シカトかよっ」





またイライラしはじめた馬鹿男…




カルシウム足りてないんじゃん?





「俺は夏樹、君の名前は何て言うの?」






仔犬くんがキラキラとした眼差しで聞いてきた






まあいっか、どうせ後でばれるし




「高橋 美緒」





「美緒ちゃんか、転校生だよね…」





「うん」





「分かんないことがあったら聞いてね」





「うん」





それからのこと理事長室までにたどり着く間に馬鹿男が佳祐って名前だと知りその他色々と仔犬くんに質問責めにあわされた。



そのおかげでもうクタクタ




眠い…




理事長室に着いたら速攻寝よ




「ここだよ~」





何がそんなに楽しいのかさっきから仔犬くんがはしゃいだ感じで話をする。

相変わらず馬鹿男は探ってるけどね




「ここね」





「うん、ここが理事長室」




先程からのあのスマイルで仔犬くんが頷いた





「案内してくれてありがとう…」








少し微笑みながら一言お礼すると

仔犬くんと馬鹿男は顔を赤くさせて




「……。」





黙ったままの仔犬くん




「…べ、べつに…」




何でか照れてる馬鹿男





あんまり興味が湧かなかったのでそのまま理事長室のドアに手をかけた




すると後ろの方から物凄い速さで走り去る二人を感じた




なんだったんだろ…あの二人





まあどうでも良いので理事長室に入った…







ギュッ







暑い…





「何してるの?凪…」




「お前を確認中…」




「あっそ…」





理事長室に入って真っ先に抱きしめてきたこの理事長はもと青龍という暴走族の総長ででもって四神龍聖会という同盟の族を集結させた組織のもと総長だった。
名前は十六夜 凪(イザヨイナギ)。
私の昔からの友人である






しばらくしてようやく離れた凪はまず一言目に痛いところをついてきた





「今まで何処にいた?」



「狼牙のとこ」



「!!?」




驚くのは無理もない、なぜなら狼牙はずっと私の居場所を隠してたのだから。




でも凪はキレなかった



「そっか、それなら安全だな」



「うん」




「眠いのか?」





勘の鋭い凪が当ててくれた…






「ちょっとね…」



「寝ても良いぞ」




「それ理事長が言う台詞じゃないよね」




「俺だから良いんだ…」




はいはい…





多分声になっていないけど通じた






そこから意識はプツリと消えた




ガラッ…


「凪、用ってのはなんだ」



「静かにしやがれ…起きちまう」



「ハッ?……美緒!!?」





私の存在を知り葵は驚いていた…



倉木 葵(クラキアオイ)、もと青龍の総長。
私の昔からの友人




「葵、こいつは今日からお前のクラスの生徒だ」




「えっ、彼奴等がいるのに?」




「仕方ねえだろ、こいつが“あいつ”と同じクラスに行きてえって言うんだ」




「……わかった」





凪と葵は美緒の寝顔を見て嬉しくもあるが複雑な悲しい目をした…




「美緒がここに戻ってきた…それだけで十分だ」




「ああ」




凪と葵の呟きは寝ている美緒には聞こえなかった






< 2 / 35 >

この作品をシェア

pagetop