【空色の未来[海色の過去]】
≪第7章 束縛の鎖≫
響也side




「行か、ない、で…」




こいつは多分俺に言ってない






俺を通して誰かに言ってる…
そんなこと分かってる





分かってんだけど、






俺に縋(スガ)りつく弱々しすぎる力に
俺は自分の自制心が壊れそうになった









このままこの女を襲ってやりたい…










この女を俺だけのものにしたい…










俺の中に隠れていた欲望が溢れだしてきた







何だよ…これ…













つい昨日までは女っていう生き物を性欲処理としてしか思っていなかったのに、



一人の女に過剰に独占欲がわき起こる…




でも










その反対に、
“傷つけたくない”って思った。







こいつが何かを背負っているのは事実として、俺には何ができる…






俺がここに居ることを確認すると
安心したのか沈むように気絶した…






女の瞳には一筋の雫(シズク)が伝ったので
俺は手を伸ばして指で拭って






壊れ物を触るかのように、
女の頬を優しく撫でた…







この気持ちは…分かってる


だけどまだ言わない。







“女”という存在を否定してきた俺には
こいつを想う資格なんかない…




だけど、



いつか…この想いを伝える







その前に…




お前を“闇”から救い出さないとな





美緒の抱える闇が俺が想像する遥かに
越す事だなんてこの時の俺には
理解出来なかった。






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